山梨県の葬儀は少し変わっているところがあります。まず大月市近郊では出棺の時に近親者で担いで3度ぐるぐる回すというしきたりが見られています。3度回しとか棺回しと呼ばれていて棺を回すことで故人の方向感覚をなくして家に戻ってこられないようにするためで迷いなくあの世へ旅立ってほしいという願いが込められています。
また回るという行為は仏教の修行にも多く見られてお遍路さんが聖なる場所を回ったりするように回るという儀式を行う事で現世の罪をなくすための修行をおこなっているとする減罪信仰からと言われています。また土葬の墓地の一部が山梨県の塩山に存在しています。
今が衛生上の問題があって禁止されているところも多くなってきました。そして出棺では玄関の脇に仮門を作ってそこをくぐって出棺するという風習が山梨県には残っています。
民俗や習俗というのは、歴史の中で集積されてきた社会的な意識だということができます。つまり、それぞれの地域には、地域ごとに共通の認識があるということです。この民族や習俗というのは、現代においては薄れてきているようです。
そのため都市部では、葬儀の際にも習俗的な儀礼はあまり見られません。しかし、まだ色濃く残っている地域もあり、それらの習俗には昔の人々の人が亡くなるということや、埋葬についての観念が見受けられます。山梨県では、地域によっては助け合いの組織として、近隣の組のつながりが盛んな場所が今でもあります。
山梨県では、お通夜の際に軽い食事などを出す通夜振舞いの習慣はありませんが、葬儀が終わり、初七日法要の後に、親族を中心に食事を振る舞う初七日御膳という習慣を行っている地域があります。この地域では、葬儀を手伝ってくれた組の人にも、初七日御膳に招待することが多いようです。